鉄工所こそ感性価値の時代!書評「遊ぶ鉄工所」楽しくなければ仕事じゃない 

仕事を選ぶ基準は楽しいか、楽しくないか?

本書は約20年前 「楽しくなければ仕事じゃない」「大量生産はしない」「人がには人にしかできない仕事がある」と親父を説き伏せ8割の受注先を断わり、製造業、ものづくり企業の概念をぶち破った、「ヒルトップ」の副社長の実践版「知恵の経営」レポート。

取引先はディズニーやウーバーと聞けば大抵のひとが「そら設備や仕組みがあるからや」と、思いますが設備も仕組みも後付け。まず「楽しくなければ仕事じゃない」「人がには人にしかできない仕事がある」「知的興奮」を大事にする、何かするときの基準は楽しいかどうか・・という知的興奮を軸にした考え方があり、その考え方に合わせて仕組みを創り、投資をしてきた軌跡のレポートです。

 下請けの仕事を断わった、その2カ月後、工場内の機械は全て引き上げられ、売り上げは8割を失なう、その後3年間は売り上げも仕事も給料もない状態。「味噌や醤油をつけで買うのは勘弁してほしい」と酒屋さんに言われたと言います。戦前の逸話ではなく、1997年の事です。

それでも、自分を貫き、多品種少量生産で造ったことの無い製品を前にワクワクする「知的興奮」に心奪われ夢中でつくりつづけてきたからこそ。乗り越えられたのです。

この過程で生死の淵をさまようぐらいの大きな事故を副社長は経験されています。この事故のくだりを読むたびに、人の意志のもつ力について考えさせられます。全く触れられませんが今ももしかするとどこかに後遺症が残っていても不思議ではない、それぐらいの壮絶な事故です。

それができたのは、徹底した合理化

同じことをしない、単品仕事をワクワクしながらやる一方で、こちらの会社がされたのは、徹底した定量化、全品番号付け、合理化。職人の「勘」と言われるものは全て数値化できる、再現できるとという信念のもと定量化を推し進められました。そこには、経験やカンにたより自分の技術を定量的、論理的に説明できないのは「にわか職人」とその人にしかできない技術をもつ「本物の職人」へのリスペクトがありました。

考え方と行動が先!現実はあとからついてくる!

さらに、新社屋を建てる時、社員数が30数名なのに先に100人規模の食堂を創ってしまうという大胆さ。一昔前の「正しい経営」は、お金が出来たら設備を投資する、社屋をあたしくする、でした。※昭和の社長の中には、社屋は「カネうまへんから古いまでええ」という方も多かった。

しかしこちらの会社では、Visionがあれば先にそのものを「現実にする」も徹底されています。無人搬送車の開発も「楽しいから」と1億円投資し、その実験の様子を展示会で知ったスーパーゼネコンから共同開発をもちまれる、それでも開発発費は1000万円、1憶円投資して1000万円の受注と考えるか、全額自腹を1000万円頂けたと思うかで、その次に見える景色はかわってゆきます。

こちらの会社の成功スパイラルはこの繰り返し、なのですね。

鶏が先か卵が先か、ではなくどちらも重要

これまで成功企業に対し、「そもそも~があったからできたのでしょ」的な視線を持つことはありましたし、実際もともともっていらっしゃるか方もいらっしゃいました。しかし、ヒルトップのように、また先日紹介したトリドール社のように、持たずに挑戦され結果をだしつづけておられる企業も存在します。ただし彼らは、自社はこれでいくという「信念」をもっていました。

このブレない信念が知恵の経営でいう、経営理念の原型。経営資源の3要素ヒト・モノ・カネを生み出すスタートライン。

ふらふらと寄り道せず、自分はこれでいく、行けると信じることから始めましょう。

 

書籍:「丸亀製麺はなぜNO1になれたのか?」を通し、丸亀製麺のビジネスモデルを学びます。
今や国内800店舗、海外含むと1000店舗に達しようとする丸亀製麺。お店を利用する誰もが思わず、「こんなお店が欲しかった!」とうなづく店づくり。

そのスタートは、小さなありがとうの積み重ねで出来ています。
成功企業のおはなしをただ読むのではなく、ビジネスモデルがどうなっているのか=なぜ成功したのかを学ぶ読書会です。

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