中小企業庁 平成31年度概算要求に思うこと

平成31年度 中小企業庁 概算要求 発表されています!

平成31年度中小企業・小規模事業者関係概算要求が発表されています。

まず全体概要はこちら、

平成31年度中小企業・小規模事業者関係概算要求の概要

各論はそれぞれPR資料として、PDF1枚ものでまとめられています。

こちらのページの中小企業庁 から下をご覧下さい。

http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2019/pr/ippan.html

施策の背景にある、問題意識はなにか?重箱の隅をつつかないために。

今回の概算要求は「経営者の高齢化」、「人手不足」、「人口減少」という3つの構造変化. に直面する中小企業・小規模企業者向がこれらの構造変化に対応するための施策となっています。

この構造変化への対応については、5年前 よろず支援拠点のチーフコーディネーター研修に参加させて頂いたとき、(5年まえはヒラコーディネーターでしたが、チーフ研修に参加させて頂きました。)当時の中小企業庁 小規模企業担当課長がおっしゃっていた、「人口減少社会」への強い危機意識がベースになっている、と感じます。

当時の担当課長は、まだ完成途上のリーサスの紹介を熱くしながらこうおっしゃいました。「我々政策立案する側の人間、中小企業庁も、経済産業省も、厚生労働省も、人に関わる政策を考える時のベースにしているのは、増田寛也氏が書かれた「地方消滅」論です」と。

 

恥ずかしながらその時まで氏の名前は存じ上げていてもしっかり読んだことも、人口減少社会がどのようなものか想像もしていませんでした。ただ当時は「限界集落」という言葉で中山間地域で高齢者ばかりが残ってしまった地域の紹介をするドキュメンタリーが良く放映されていた時期で、「ああ大変だ~」ぐらいの他人事的な認識でした。

この研修で学び認識を新たにしたこと、それはこのまま地方地域の人口減少を放置し、都市部への一極集中を許せば間違いなく地方自治体の多くは破綻してしまうだろうということ。そして、同時に地域は崩壊してゆくだろうと言うこと。

では、何ができるのか、それが、中小企業・小規模企業がそれぞれが今いる地域で、存在感のある仕事をし、事業を持続する事。地方地域に企業が存在することで経済循環があり、雇用が生れ、人がその地域を離れなくてすむ。

里山資本主義にあるように、たとえ年収が200万~300万であっても、地域社会との交流や僅かな耕作地があれば、案外現金収入は少なくとも「充実した生活」はできる。ITインフラが整っていれば中山間地であっても世界との交流は開ける。夫婦合わせて世帯収入が400万あれば子育ても可能!なのです。

 地方地域の小さな事業が持続的に経営を続けられる環境を整備する、それが中小企業庁施策のメイン

全ての施策立案はこの問題意識から生まれている。それが5年後の今も継続されている。今回の概算要求を読んで、まずそれを感じました。このベースに何を考えて立案されているのか? は、もちろん私の「仮説」にすぎませんが、そこを読まずして、表面に現れた政策を論じるととんでもなく重箱の隅をほじくるような議論になってしまう。これが私の認識です。

 なにに注目すべきか?小規模企業を支援する意味と意義

2018年度小規模企業白書の冒頭 「小規模企業白書」の発刊に寄せて で世耕経済産業大臣がこう述べています。

 「本経済の基盤を支えているのは、地域経済・雇用の中核を担う全国325万人の小規模事業者です。」と

かって、小規模企業は、「中小零細」と呼ばれ、施策の中でも、大企業や中小中堅との格差を是正すべしとされたり、公的支援機関は創業・第二創業・経営革新する企業への支援に注力すべしとされた時期もありました。つまり、中小企業庁の施策では、小規模企業が現状のままで「在る」ことは「良し」とされず、新事業への進出で中小中堅へ変容しようとすることこそが「成長」であり「成果」とされていました。

 何か成果をだして成長することが重要なことにはかわりませんが、現状のままの小規模企業の役割を経済の基盤を支えている存在として位置づけ、施策の対象になることは、これまでありませんでした。

5年まえのこの政策の変化を認識している公的支援機関の方はどれぐらいいらっしゃるでしょう?私はここは、政策転換の重要ポイントだと捉えています。

その認識から考えれば、バラマキと評される「持続化補助金」や「IT導入補助金」「ものづくり補助金」の根幹にある「発想」が何かも見えてきます。

5年目で10億円も「増額される」よろず支援拠点の予算や商工会・商工会議所の「経営発達支援計画」の継続や人材育成の予算化、地方自治体が地元商工会・商工会議所等と連携し実施する「持続化補助金」なども、表面のやりにくさや実施時の課題は別として、一連の施策からは、小規模企業を面で支えなければ、日本は立ち行かない、それぐらいの危機意識が垣間見えます。

小規模企業の持続的な経営は、「知恵」をだすことから

現状の人口減少および都市への一極集中の流れをどこかでくい止め、地域が自立して存続するためには、地元企業による経済循環と雇用が必須です。その為に、まず現状を維持する。ただしこれまで、成長や変革を志向しなかった企業にとって現状は大きな向かい風の中に居るようなもの、持続するためにも「変化・革新」は必須条件、でもあります。

私は、小規模企業の「変革・革新」を遂げるため設備投資が必要であるとか、補助金投入が必要であるとかは全く考えません。その前に、正確な現状認識と「どんなお客様に貢献し、自社があることでどんな社会を目指すのか」という未来志向の中から「知恵」をだす。自社の希求する社会にするために、そのプロセスで設備が必要なら設備投資を、新市場を切り開くのであれば販路開拓をしっかりとした需要調査と需要開拓を基に行う。その過程で資金に不安があるのであれば「補助金」を活用することも視野に入れる。

このプロセスを間違うと、補助金ありき、設備ありきで、企業経営の上でもっとも大切な「知恵」をだす回路が閉ざされてしまいます。

マクロの世界情勢、経済情勢は向かい風、施策という少し小さな範囲の経済情勢は追い風、その中で支援者自身も「どのような未来をこの企業は創るのか」というビジョンを持って支援する、この視点抜きには立ち位置を見誤る、のではないでしょうか?

 

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