商工会は地域に根差し、社会の仕組みを学ぶ場所 精華町商工会の取り組み 

小規模企業白書2018年版に精華町商工会が掲載されました。

京都府南部、学研都市のある街精華町商工会さんの取組みが、

小規模企業白書に掲載されました!!

※小規模企業白書とは、中小企業庁がまとめた、従業員5人以下(製造業においては20名以下)の小さな企業の動向をまとめたもので2014年版から作成されています。


     精華町商工会青年部恒例スタンディングバー

それも、

1.商工会の取り組み

2.御生菓子司 ふたば

3.(株)森忠建設造園

と3つものも事例が!!掲載されています。

商工会関係者の方、小さい企業を応援されている方はぜひ読んでくださいね。

そのなかで、

商工会の取り組みとして、経営支援員の岩井香織さんがこれまで人力されてきた青年部での取り組み、そして経営発達事業の担当者としての取り組みが紹介されています。

紹介ページはこちら → 小規模企業白書 事例3-1-13

この中の紹介ももちろんその通りなんですけど、 彼女は、もっともっと大きくて大切なことを、地域の方々、特に青年部員のみなさんに伝えています。

 

それは、社会の仕組。

 

本質的な仕事への取組み姿勢

私は勤め始めたころのメインの仕事は、記帳指導、融資斡旋など、答えの決まっているモノばかりでした。

もちとん青年部、女性部と部会活動もありました。私のいた時代、部会活動の中心は親睦旅行にプラスαで研修、おまけのような位置づけでした。当時私はそのことになんの疑問も持っていませんでした。・・・

でも、彼女は違った。

彼女は青年部の部員の方々一人一人にキチンと学んで欲しい、勉強してほしい、モノゴトの道理を知って欲しいと、並々ならぬ努力をしていました。

私が、京都府商工会連合会にいたころ、

「青年部の人らに~なことを知ってほしいんです、どうしたらいいですか?」

「青年部の〇〇さんが、こんな問題抱えています。どの先生にお世話になればいいですか?」

しょっちゅう連合会に電話がかかっていました。

そのたびに、私は彼女の熱意を芯から受け止められる先生を探して、時には会いに行って、口説き落として精華町へ送り込んでいました。

もちろんどの商工会の経営支援員さんからの問い合わせにも同じように同じ熱意で、先生を探したり、本を買って提案したりしていました。でも丁寧にその後の経過や御礼を言ってくださる方がごくわずかでした。お礼が目的に仕事をしているわけではありませんが、やはりその態度が清々しく、また彼女と仕事がしたい、役にたてる提案をしようと心を決めるのでした。

 

白書にある、「会社とは何か」を部員にわかってもらうよう、1冊本を、全員分コピーして、担当する章を決めて、勉強会をされていたのもこのころです。

 

商工会青年部活動を通じ社会を学ぶ

胸に刻んで忘れられないのが、この発言。

「青年部の人たちは、みんな組織をしらんねん。高校か、専門学校でて、外の飯食べに行けって、親に言われて、親の縁故で、2~3年働いて、親元に戻って働く。」

「親の事業が株式会社であっても、実態はほぼ家族。

社長はお父さん、

専務は伯父さん、

監査にお母さん、

たまに、お父さんの世代の番頭さん的従業員さん、そしてパートさんぐらいの所帯。

これが組織や、といっても、なんとなくでも全部まわる。

普通の組織の、基本中の基本報連相 (報告・連落・相談)が無くっても、(そもそも、やってないことも多いので、)怒られることもない。

まして、PDCA もないでしょ。

そんな状態、でもいずれ社長になって、社外の人との付き合っていかないといけない。私、その時に彼らが、こまらないように、組織で動くはどういうことかを、青年部事業を通じて知っておいて欲しいと思ってる。

だから、部長以下、それぞれの担当を決めたら、まずその担当者同志で話し合いをしてもらう。必要なら他の部会の人と調整する。決まったことは事務局の私に報告を貰う。

そんな風に自分で考えて動く、いやでも報連相しないと、事業が進まないところに立ってもらっている。

青部事業の段取とか、最初っから商工会の担当者が全部やるところもおおいと思う。その方が速いし、それが仕事って思っている商工会担当者もおおいと思う。

 でも、そんなことしてたら、青年部の部員の成長につながらない。

だから私は、担当を決めて決めたら任せて、それぞれの部員さんが考えて、動いて、部の事業を担う。事務局はそのサポートに徹することにしてる。

大きな組織ぼ働いたことがほぼ無い、商工会の青年部員さん。いい悪いではないけれど、いづれ事業が成長した時、大きな組織と相対する必要があるかもしれない。大企業に営業に行く必要もでてくるかもしれない。

そんな時、臆せず対応できるよう、失敗してもフォローがきく、青年部活動で、充分失敗も含めて経験してほしいと思っている。」

 

商工会青年部は、地元の二代目三代目となる人たちにとって、

家(事業と言っても、ほとんどが家業なので)以外の、社会の仕組みを、学ぶ場所。彼女のその思いが、部員一人一人が組織の中で育つ原動力になっています。

青年部員はまず経営で切磋琢磨し、地域貢献もする団体

精華町にかかわらず、どの商工会地域にも今回、白書に選ばれた2社以外にも、業界を断然リードするような企業や、この規模でそこまでの仕事をする!と驚きの事業、地域あるあるの環境の中の事業承継事例など、掲載に足る経営力を身につけていらっしゃる企業は沢山いらっしゃいます。

ただ精華町商工会が他の商工会と違うところは、あの2社が選ばれたことで、そのあとに続こうと、ぐっとモチベーションをあげている青年部員さんや企業が沢山いらっしゃること。

なぜ、そうなるかと言えば、まず経営で切磋琢磨する関係が根付いている。青年部事業ありきではなく、事業ファースト。でも青年部事業も手を抜かない。決して!

部員同士が、

常に経営でも意識しあい切磋琢磨する、

あいつがあの講座に出席するなら自分はこの講座と

いった具合に意識しあう。

青年部事業運営では、時に厳しい事も言い合い、

成功に向かっては、組織として一丸となって動く。

そんな白書の文章だけでは、表現しきれない、

様々な思いや動きをくみ取って頂ければと思います。

 

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