地域金融機関にとって衝撃の1冊と言われる、
「捨てられる銀行」橋本卓典著 講談社現代新書
レゾナンス読みまし、その後活性化。
金融庁の大転換が、始まっています。
中小企業庁が7月にリリースした経営力向上計画の理解には、
金融庁が作成した、地域金融機関と、支援機関、地域企業の対話ツール
ローカルベンチマークの理解が前提となり、
そのローカルベンチマーク誕生の背景を説明したものが本書です。
地域金融機関、とりわけてもドブ板を踏むと言われた信用金庫、信用組合の与信は
「目利き力」と呼ばれる、金融マンの事業に対する深い理解と評価前提でした。
少なくとも、私が商工会経営支援員として金融斡旋業務をしている頃、
地域金融機関と保証協会、商工会は共に、
面で、地域企業を支え合っていた。そんな実感があります。
その後の、「貸剥がし」や「貸し渋り」、からの〜
保証協会100%保証の時代に入ります。今や、中小企業金融にとって、
保証協会利用はデファクトの時代・・ではないでしょうか。
そして、本書の言い方を借りれば、「短コロ」と呼ばれる、
「短期融資」も姿を消し、証貸しと呼ばれる長期融資が主流になっています。
そして、究極が、元金返済をストップし金利だけの支払いに切り替える金融円滑化法。
これら一連の政策があるおかげで、確かに金融機関からの資金調達はかってより容易になりました。
本書はそんな銀行、中でも地域銀行が営業ノルマ優先になり、目利き力を失っているさまを、
ばっさり「銀行マンはどんどんバカになっています」と言いきっています。
確かに、相談対応させて頂く企業さんの中には、地域の雇用や生活を支えている企業であるにも関わらず
金融機関さんから財務諸表だけを評価され、冷たい対応をされている企業さんも沢山いらっしゃいます。
本書は、昨年7月に金融庁長官に就任した、森長官の思想と政策を紹介するために書かれたような節がありますが、
その森長官が最も伝えたいメッセージは
財務諸表だけでは地域は何一つ守れない
企業の事業性評価、技術性評価を地域金融機関が行ってこそ、本当の地方創生である。
事業性評価とは、事業の持続可能性を計る指針。
モノやカネとして財務諸表に現れない、企業活動であり、知的資産経営そのものを指しています。