今、読むと腑に落ちる本「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト

2021年1月15日(金)18:30~ 枚方の蔦屋書店で 2021年をデザインする年間計画読書会を開催します。参加費など詳細決まり次第、お知らせします。年間計画読書会の課題図書にしょうかなと感じた書籍を紹介してゆきます。

渋井真帆さんのこちらの本2004年11月に初版ですので、今から16年前。 その後、リーマンがあり、東日本大震災があり、自然災害の発生がデファクトになり、更にオリンピックが無くなり、GOTO~が始まったとたんに4月の緊急事態宣言を超える感染者数を更新している、いま読むと、16年前に、この事態を予見したかのような問題意識であり、切り口の本。

16年前のデファクト、従業員は手足

渋井さんがこの書籍で述べられている16年前の問題意識

時代が右肩上がり高度成長期だったから、国や企業が自分の人生をある程度経営してくれた。そんな時代の人生経営は、せいぜい経営を委託した国や企業にわがままを言うことぐらいだった。~中略~国や企業はこれまでの委託関係を放棄し始めた。余裕がないからね。つまり個人の経営代行を放棄しはじめた。

渋谷さんのこの問題意識。16年前彼女の著作は「決算書読みこなし隊」など読んでいたにもかかわらず、全く脳に入っていなかった。「個人の経営を企業や国家に委託している。」という問題意識。本当にその通りだけれど、16年前どれだけの人に響いたのだろう? 

面白いのは、最終章で主人公が、日本を代表する製造業の経営幹部を前に、「従業員を経営者的人材に育てるべき」「まずは決算書の読み方から」とセミナー講師として話し始めた下りの、参加者のブーイングの酷さ。

「我々経営幹部が頭脳、従業員は手足、決算書が読めて、幹部がいくら貰っているかがわかる従業員なんて困る。」

これ、本当に高度成長期、需要に供給が追い付かない時代の発想。単一のものをどしどし作れば売れる時代の成功体験から抜け切れず、失われた20年とはいいつつも、リーマンも、大震災も、コロナも経験前の「本音」だったことでしょう。

感染者数が四月の緊急事態宣言の頃を更新し続けている今、従業員を抱え続けること自身がリスク。兼業、副業、パラレルキャリアを認めなければ、自社が成り立たない局面に来ています。

であれば、従業員が自立し、自分の人生を自分で経営できる人材である方が、自社の中でも「経営者視点」で成果を上げられ、且つ同じ視点で現状を俯瞰でき、必要なら自分で自分の食い扶持を稼げる人財の方が、安心して業務を任せられる。

この書籍の中で、主人公の夫は何度か「80年代まで社会主義だった。」と語っています。確かに、戦後から80年代まで、大量生産を遂行するために、個人は組織の歯車として生きる代わりに、その人生の経営という最も大切なことを大企業や国に委託させ、それを当然の「権利」と勘違いしている時代がありました。

どんな時代でも、どこにいても、輝けるのは経営者的人財

この書籍では、経営者的人財と経営者を別に定義しています。ここで言う経営者とは、視点や器でなくても、親から事業承継した社長や、力関係のなかで社長に就任した人材を経営者。パートであっても、①長期的視点を持ち、②全体の中での自分の仕事の位置付けを理解し、③本質的に物事を理解し、④多角的な視点でモノゴトを俯瞰することが出来れば、それは経営者的視点を持っているということ。そんな人財であれば、おかれたポジションで期待以上の成果が出る。

兼業、副業解禁と言えば聞こえはいいけど、要するにこの先十分な給与支払いは保証できませんよという時代の到来。

そんな時、経営者的視点を持った人財であれば、企業の姿勢に不満を持たず、逆にチャンス到来、ぐらいの勢いで副業にいそしむ可能性がある。そんな従業員として育てた方が経営者としても「楽」な時代。

 

この本はもう既に、古本としてしか出回っていないようですが、経営者の方が読むことで、改めて企業経営、マネジメント、人材育成、について考えを新たにできるでしょうし、お勤めの方が読まれても、(別に起業しなくとも)自分のキャリを資格とかではなく、自分個人が培った人的資源のなかの何にフォーカスし、どんなお客様のために、どうで育てようかということを地に足付けて考えられる良書です。

 

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