書評 タカラモノ

未来を創る朝読書

今朝の1冊は和田裕美さんの「タカラモノ」
~かって誰かの娘だったあなたと分かち合いたい1冊~

著 和田裕美
版 双葉文庫

 

 

和田裕美 プロフィール

京都府宇治市出身の作家、ビジネスコンサルタント。
20代で外資系企業の世界№2成績。
同社の日本撤退後は作家、ビジネスコンサルタントに転身。

 

 

 

こちらの書籍は、3年前にポプラ社から「ママの人生」として刊行された単行本を改稿・改題した1冊です。

私が和田裕美の存在を知ったのは前職で管理職の端くれをしていたころ。
どうしょうもなく湧いてくるとしか思えない事務雑事、すぐ拗ねるスタッフと逆切れするおっさんにまみれていたころ。
彼女が提唱する「陽転思考」=どんなことからもプラスを見つける生き方に励まされました。

その後、自宅近くの和田裕美さんの「門下生!」さんに出会い、さらにはまっていきました。

 

彼女の著書「すごいお金」の中で私が大好きなフレーズ

「すべてに高潔に生きながら、自分の欲しい物をすべて手に入れることが可能であると心から信じているかどうかがポイントになるのです。
~中略~
欲しいものを手に入れることは決して罪悪ではないから、もっと自分を認めてあげてほしいのです。」

こんな素直で、素敵な手紙を26歳の彼女は、自分の「部下」にあてて書けたのです。

 

お金持ちで育ってはいなくても、両親の愛情に恵まれ、すくすく素直に育ったのだろう。
この小説を読むまで私はそう信じて疑いませんでした。

けれど、
多分、殆どがノンフィクションと思われる、「ママの人生」そしてより素敵になって出版された「タカラモノ」を読むと
彼女の家庭環境は、小説にでてくる柳川さんのお母さんの言葉を借りれば「かわいそう」。

多恵ちゃんのお母さんの言うように、「中学生でこども産んでも」おかしくない環境でした。

でも、夜の勤めで家にいないママに対して、
「ママのせいや!」と叫ぶ 主人公の「ほのみ」の言葉に、ママは一切ひるまずに、「どうぞグレてください」と言い放つ。

たとえ、生活の為とはいえ、家にいない、そばにいないことに、罪悪感をもつ母親は多い。

私だったら正面から「ママのせい」なんて言われると、その言葉に怯んでしまう。
いや私は怯んでいました。

このママだって情けない、もっと普通の家庭にしたい、それは自分にも責任があると痛いほど感じていたはず。

でも、こう言い放つ。

「だいたい誰かのせいでそうなると思っていたらこれからあんたどう生きていくの?全部自分で選んだことやねんから。」

負い目だらけのはずなのに怯まない、この圧倒的な真っすぐさ。

スナックを経営し、夜家にいないだけではなく、男と家出するわ、不倫はするわどうしょうもないママだけど、無償の愛はあふれるほど持っていて、手放しで「ほのみ」を応援することも忘れない。

物語の最後の最後、部下を何人も持つようになった「ほのみ」が思い出す、自分を支えてきたママの言葉は、先ほどの「全部自分で選んだこと」の対をなす言葉のように私には思え、電車の中なのに不覚にも涙を抑えることができませんでした。

この一行を書くための1冊だったのかと思わせるものがありました。

かって誰かの娘だったあなたに読んで欲しい、1冊です。

今日も素敵な一日を。

 

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