日本知的資産経営 学会誌が届きました。
「リレーションシップ・バンキングと知的資産経営報告」村本 先生の論文より、
この間の金融政策を改めて振り返ることが出来ました。
リレーションシップ・バンキングという言葉が初めて金融庁から登場したのは、
2003年。
2004年のモニタリング方針では以下のような指針がだされています。
地域の経済・産業活動を支えながら、
地域とともに自らも成長発展してゆくという「好循環」の実現に
向けた取り組みを強化することが求められている。
このような、いわば監督庁から号令がでているにも関わらず、
なかなかその姿勢が変わることはありませんでした。
平成21年 大阪で開かれていた、知的資産経営研究会の大きなテーマもここにありました。
財務諸表だけでは、企業の成長性は計れない。
企業の成長性は、その企業の中で活用されている知的資産を正しく評価しなければいけない。
そのために、金融機関の方にとっても評価しやすい指標はなにか?
成長過程をモニタリングする指標はなにか?が大きな議題であり、興味関心の中心でした。
リレーションシップバンキング という考え方をうけ、
日本で最も積極的に知的資産の評価をはじめたのは兵庫県の丹陽信用金庫でした。
2009年〜2014年までに466社が知的資産経営セミナーに参加し、そのうち
約25%が事業価値を高めるレポートや知的資産経営報告書を作成しています。
もちろん、レポートや知的資産経営報告書を作成したからと言って、
同行の融資額が増加したとか、格付けが上がったかというと顕著な数字はありません。
しかし、作成しない企業よりも確実に数字は上がっています。
また、事業の成長とは、昨日報告書を作成して今日もう売上が上がった↑ というものではありません。
ただし、行員の方の「スキルアップ」や「企業を見る目の養成」に役立っているそうです。
その企業を見る目とは、
いま、財務諸表が悪くとも、将来も悪いと限らない!!
この一点だと思います。
これが村本先生の論文から導かれた、私の主張です。
支援者(商工会・商工会議所・金融機関)の多くはこれまでの分析的発想から、
今財務が悪い=未来もこの延長として捉えてしまう くせ があります。
知的資産経営報告書 京都で言う知恵の経営報告書を作成するということは、
この固定概念を転換する力があります。
それが、コミニュケーションツールと言われる所以です。
作成したからと言って融資評価にまで高められるかどうか、は今後の課題です。
今日は、論文レゾナンスリーディング!と張り切ましたが、
書籍と違いページ数が少ないので、結局ほぼ全文読み込みました!
商工会職員の頃から、金融斡旋と再生案件に直面してきた私にとって、
知的資産経営報告書、京都で言う知恵の経営報告書の役割とは、
「今財務が悪いからといって、将来も悪いと限らない」それを伝えるツール
このフレーズが出てきたことが大きな収穫でした。